HSPとは、生まれつき「非常に感受性が強く敏感な気質もった人」という意味で、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」と呼び頭文字をとって「HSP(エイチ・エス・ピー」と呼ばれています。
HSPは環境や性格などの後天的なものではなく、先天的な気質、即生まれ持った性質であることがわかっています。
統計的には人口の15%~20%。5人に1人があてはまる『性質』であり、稀ではありませんが、裏を返せば、約8割の人はこの性質にはあてはまらないため、HPSの特性は共感を得ることが難しく、HPSでない人たちとの差に自己嫌悪を感じることや、まわりに合わせようと無理をして生きづらさを感じやすくなる性質といえます。
HSPの人は以下のような特徴があります。
場や人の空気を深く読み取る能力に長けていますが、情報を読み取りすぎるために必要以上に疲れてしまう原因にもなります。
HSPの人は外部からの刺激に敏感なため、人混みや物音・光、食べ物の味やにおい、身につけるもの、気候の変化、人が発するエネルギー等、五感で受ける刺激に対して過度に反応する傾向があります。さらに、相手の感情や周りの雰囲気、気候の変化や電波(電磁波)、目に見えないエネルギー(人が発するものも含む)に対しても敏感に反応しやすいとされています。
親や自分の周りの人の感情を読み取り、自分を合わせることが多いのも特徴の一つです。また小説やドラマなどで、作品に強く感情移入することもあります。
心の境界線とは、自分のテリトリーもしくは自分が自分であるためのバリアのようなものです。HSPの人はこの心の境界線が薄くてもろいため、容易に相手からの影響を受けてしまいます。その性質は、人の気持ちを敏感に感じ取り、深く共感する一方、相手に対して過剰に同調したり、相手の気分や考えに引きずられるなど、本音がわからずに自分を見失ってしまいことがあります。
HSPの人は刺激に敏感であるがゆえ、疲れやすいという特徴を持っています。いつも周りに気を遣っているため、楽しいことであっても疲れてしまう傾向があります。
疲れやすいのは「何かをしている」時に限りません。HSPの人は普段から無意識に周りの刺激をアンテナのように拾い集めているため、人混みにいる時や、周りの人のネガティブな感情に巻き込まれている時にも大きく消耗してしまいます。
HSPの人はその繊細さから、対人関係において余り相手を責めることをしません。良心的で優しく、相手のことを優先する傾向があります。
その半面、相手のことを気にするあまりに些細なことでも「自分が悪いのではないか」と自分を責め悪い方向に考えてしまう傾向もあります。
ネガティブ思考で自分に自信がないため、周りからの怒りの標的にされることも多く、自分の本音を隠してしまうことから人との関わりが苦手という特徴があります。
つまり、HSPとは人よりも感度の高いアンテナを常に張っている状態なのです。
そしてこの感度のいいアンテナは、小さな仕草や言動で相手の気持ちを汲み取ることができたり、色々なものに深く感動できたりしますが、反面様々なことを敏感に感じ取り過ぎてストレスの要因になるのです。
日本人は国民性から、HSPの割合が海外の人より比較的高いと言われています。
HSPはセルフチェックで、自分がその傾向にあるかどうかをある程度、確認することができます。
少しでも当てはまるのなら「はい」と答えてください。
まったく当てはまらないか、 あまり当てはまらない場合に「いいえ」と答えてください。
質問のうち12個以上に該当した場合は、HSPの気質があるとされます。
また当てはまるものが多いほど、HPSの度合いも高いとされます。
ただし、逆に「はい」がひとつかふたつしかなくても、その度合いが極端に強い場合は、HPSの気質があるとされます。
引用:
ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ。
エレイン・N・アーロン [著]・冨田香里 [訳] 講談社 / ソフトバンク文庫
社会は大多数の人に合わせるようにできています。
日本は典型的な右利き社会で、道具や設備は右利きの人に合わせて作られています。
駅の自動改札や、自動販売機、ハサミなど、右利きに合わせざるを得ないものがありますし、カウンターなどでごはんを食べると、右利きの人の右手と左利きの人の左手が当たりそうで窮屈になったりすることもあるなど、左利きの人からするとストレスを感じることは数多くあります。中には小さい頃、左利きを矯正させられた経験を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このように多数派・少数派に分かれた場合は多数派の方に合わせざるを得ないため、少数派の人は苦しい思いをすることになります。ただ、左利きの人は「左利きだ」と目に見えてわかるので、左利きの本人もストレスがかかるのを理解できますし、周りからも理解してもらえることもあります。それに比べて、敏感で生きづらさを感じているHSPの人には、目に見えた特徴が見当たりません。
正確には既述のような特徴はありますが、本人の内面の感じ方の違いなので他者にはわからず、その程度や表れ方も人それぞれなので、周りも本人も認識するのが難しいのです。
HSPの人は例えていえば、自分が少数派の「左利き」であることを理解しておらず、頑張って「右利き」であろうとしているのです。左利きの人が右利きの人と同じように右手をあつかおうとすることに無理がありますから、結果として自分に自信をなくし、生きづらさを感じてしまいます。
先にお伝えしたように、HSPは非常に感受性が強く敏感な気質もった人の意味であり、生まれ持った性質で人口の約2割の方が、この特徴をもっているとされています。すなわち、残り8割の方とはあてはまらない感覚を身に備えています。
それゆえに、生活のあらゆる場面で、苦しい思いや悲しい思いを感じることが多くあり、生きづらさを強く感じてしまうことになります。例えば、いろいろなことに耐えられないのは努力が足りないからだと思うこと。みんな同じ環境で頑張っているのに、耐えられない自分は劣っていると落ち込んでしまうこと。甘えてはいけないという思いから、“受け入れる”ことができないことなど…。その状況が長く続けば、さらに別の様々な症状が現れることも考えられるでしょう。
HSPと向き合うには、HSPを正しく知ること。
今まで耐えられなかったこと、受け入れられなかったことを正しく知る事により、自分を受け入れられ、豊かな人生へと変えていけると考えます。
例えば、そもそも感じていた刺激量にかなりの差があったことを知り、自分が甘えていたのでも、感覚が特別おかしかったのでもないと理解したことや、自分は人より劣っている、生きている価値のない存在なのだと自分を責め続けてきたけど、本当はそうではないことを理解し、考え方を前向きに変えていくことが出来るようになってきます。
まずは問診やカウンセリングにより詳しくお話をお伺いし、あなたがどんなことで困っているのか?それはHSPだからなのか?それとも生い立ちや、性格、環境等によるものなのか?など様々な観点から判断し、そのうえでHSPの何が引っ掛かりとなっているのか。またそれ以外に、その他の体質や性格、病気や症状、思い癖、認知の偏りなど、あなたの人生の引っ掛かりとなる物は何があるのかを洗い出していき、それらの症状を改善していく道案内をしていきます。